医療安全教育セミナー2010夏季 (医療安全管理研修会) ― 医療安全の能力向上 − 会期 2010年8月4日(水)〜6日(金) 会場 東京大学医学部鉄門記念講堂 (1日の定数310人) 主催 国際予防医学リスクマネージメント連盟 |
プログラム
趣旨: 本教育プログラムは、高度な医療安全活動を構築するための最新の資料を与えるもので、内容は毎年新しい話題を取り上げています。なお、本プログラムは、厚生労働省の診療報酬改定による「医療安全対策」として診療報酬申請に加算する際に、加算の対象となる2010年度の研修教科内容の1部にもなります。この場合は、2010年度冬季セミナー(2011年1月の3日間実習)と併せて6日分を申請することをお勧めします。平成22年度診療報酬改定(平成22年告示第69号)により、専従医療安全管理者以外に、専任医療安全管理者が医療安全対策費の対象となります。参加者には受講証明書を発行いたします。
受講対象者: 学会員、医療施設経営者、医療安全管理者(医科と歯科)、リスクマネージャー、医薬品安全管理者、医療機器安全管理者、医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、放射線技師、臨床検査技師、法関係者、医療事務関係者、医療産業界関係者、学生、市民、その他
(第1日目) 2010年8月4日(水) 午前10時〜午後4時30分
東京大学医学部鉄門記念講堂
『医療安全の組織と調査』
受付開始 午前9時
(8月4日午前の部)
(座長) 武市尚子 (世界健康リスクマネージメントセンター客員准教授、千葉大法医学、東大法卒、東大院(医)卒)
午前10時 開 会
午前10時〜午前10時50分 (質疑5分を含む)
「医療事故時の院内での危機対応組織の作り方」
長尾 能雅 (京大病院・医療安全対策室室長)
(概要) 京大病院での実務経験を踏まえて、院内での危機対応システムのあり方について医療安全管理室の立場から具体的な話題が提供されます。
午前10時50分〜午前11時 小休憩
午前11時〜午前12時 (質疑5分を含む)
「裁判所は医療事故をどのように裁くのか」
加藤 愼 (虎ノ門南法律事務所弁護士)
(概要) 加藤先生は医療リスクマ―ジメント分野の弁護士として実務に従事しています。著書「医療事故を裁判所はどう裁くのか」では、最高裁判所を含む裁判所による事実認定、過失認定および損害認定に対する考え方の変化を含めて具体的に論述されています。今回は、本では分かりにくいこれらの問題について明快に講義いただけます。
午後12時〜午後1時 昼食
(8月4日午後の部)
(座長) 武市尚子 (世界健康リスクマネージメントセンター客員准教授、千葉大法医学、東大法卒、東大院(医)卒)
午後1時〜午後2時20分 (質疑10分を含む)
「アクシデント報告から医療事故の原因を発見する」
橋本 重厚 (福島県立医科大学医療安全管理室教授、内科兼務)
(概要) 1事例の医療事故から事故原因を発見する方法の1つであるヒューマンファクター分析の代表的な方法をいつくか紹介し、医療安全現場の実践の中から、有効性、問題点および今後の検討課題を解説する。
午後2時20分〜午後2時30分 小休憩
午後2時30分〜午後4時30分 (質疑10分を含む)
「医療安全の情報マネージメント」
酒井
亮二 (国際予防医学リスクマネージメント連盟理事長)
(概要) リスクマネージメントとクライシスマネーメントは情報戦である。医療機関内部には、各種の診療録、医事関連資料、医療事故インシデント報告、患者さんおよび同僚からのクレーム報告など、常日頃において膨大な事故関連情報が山積する。これらの資料の情報処理・情報管理から、医療事故のリスクファクター発見、臨床指標のアセスメント、安全対策の相互チェック、部門別の関連情報のアセスメントが可能であり、現実的な根拠に基づいたより良い医療安全対策とクリニカルガバナンスが導ける。しかし、この種の課題には膨大な情報マネージメントが必要で、院内の医療安全業務を肥大化する。効率的な最新の方法をいくつか紹介する。
午後4時30分 第1日目閉会
(第2日目) 2010年8月5日(木) 午前9時〜午後4時30分
東京大学医学部鉄門記念講堂
『医療安全の教育とコミュニケーション』
受付開始 午前8時30分
(8月5日午前の部)
(座長) 武市尚子 (世界健康リスクマネージメントセンター客員准教授、千葉大法医学、東大法卒、東大院(医)卒)
午前9時〜午前10時20分 (質疑10分を含む)
「院内事故調査委員会の進め方」
上田 裕一 (名古屋大学大学院医学系研究科心臓外科学教授)
(概要) 院内事故調査委員会は全国の医療機関で不可欠のインフラであり、その整備が急務です。今回は、2009年3月に財団法人生存科学研究所から「院内事故調査体制に関する調査報告」取りまとめられた上田先生ご自身によって具体的な解説をいただけます。
午前10時20分〜午前10時30分 小休憩
午前10時30分〜午前12時 (質疑10分を含む)
「医療事故の心理的側面」
松尾
太加志 (北九州市立大学文学部人間関係学科教授)
(概要) 松尾先生は九州大学心理学を卒業し、医療事故における医療人と患者・遺族の間のコミュニケーションを調査研究しています。今回は医療現場でのコミュニケーションの成功と失敗に関する膨大な事例を心理学的側面から整理・報告されます。これらは医療人のコミュニケーション能力の向上に不可欠です。
午前12時〜午後1時30分 昼食
(8月5日午後の部)
午後1時30分〜午後2時50分 (質疑10分を含む)
(座長) 武市尚子 (世界健康リスクマネージメントセンター客員准教授、千葉大法医学、東大法卒、東大院(医)卒)
「臨床現場における医療安全教育のあり方」
平出 敦 (京都大学大学院医学研究科医学教育推進センター主任教授)
午後2時50分〜午後3時 小休憩
午後3時〜午後4時30分 (質疑10分を含む)
(座長) 木内 貴弘 (東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野教授)
「医療におけるクライシス・コミュニケーションの進め方」
吉川 肇子 (慶應義塾大学商学部・医学部准教授)
(概要) 医療事故の発生に際しては、危機管理の一環として、医療人と患者・遺族間ならびに医療従事者相互の間において適切なクライシス・コミュニケーションが不可欠です。実際の医療紛争の原因の7割はクライシス・コミュニケーションの失敗とされ、これは非専門的技術によるエラーを最も代表するものです。
クライシス・コミュニケーションはリスクコミュニケーションとはかなり異なる原理と方法が見出されています。講師は京都大学心理学を卒業後、医療を含む様々な危機管理問題におけるクライシス・コミュニケーション研究を実践し、その研究実績ならびに著書を踏まえた実践的講義が行われます。
午後4時30分 第2日目閉会
(第3日目) 2010年8月6日(金) 午前9時30分〜午後5時
東京大学医学部鉄門記念講堂
『医療安全の先端技術』
受付開始 午前9時
(8月6日午前の部)
午前9時30分〜午前10時20分
(質疑5分を含む)
(座長) 武市尚子 (世界健康リスクマネージメントセンター客員准教授、千葉大法医学、東大法卒、東大院(医)卒)
「国際標準規格ISO・3100におけるリスクマネージメントの新しい考え方」
野口
和彦 (三菱総合研究所、研究理事、東大工学部卒)
(概要) 2009年11月にリスクマネジメントに関する国際規格ISO・31000が制定発行されました。リスクの多い組織が生き残るためには、効果的なリスクマネジメントを構築し、実施する必要があります。ISO3100におけるリスクマネジメント規格の審議に関わり、また主導的な役割を果たした本専門家ご自身により、有効なリスクマネジメントの構築運用の指針である、ISO31000の意図と使い方、及びリスクアセスメントとの関係をやさしく説明します。
午前10時20分〜午前10時30分 小休憩
午前10時30分〜午前12時 (質疑10分を含む)
(座長) 上別府 圭子 (東京大学大学院医学系研究科予防看護学講座家族看護学准教授)
「看護における危機介入」
小島 操子 (聖隷クリストファー大学、学長)
(概要) 小島先生は米国ミネソタ大学など国内外の看護系大学を経て、日本がん看護学会理事長など多数の要職を歴任されています。今回は、著書「看護における危機理論・危機介入」を踏まえて、患者病態の急変という危機状況に対して看護師による医療介入のあり方を国際的視点から解説いただけます。病態急変における危機介入は看護学ばかりでなく、医学にも共通する重大な課題です。
午前12時〜午後1時 昼食
(8月6日午後の部)
(座長) 武市尚子 (世界健康リスクマネージメントセンター客員准教授、千葉大法医学、東大法卒、東大院(医)卒)
午後1時〜午後1時50分 (質疑5分を含む)
「外科系の医療安全」
- 日本予防医学リスクマネージメント学会第9回学術総会総会長の講演-
外 須美夫 (九州大学病院麻酔科教授、第9回学術総会総会長)
(概要) 厚生労働省の医療機器安全対策検討委員会の経験を踏まえて、外科系臨床の立場からそこでの安全のあり方を講義する。
午後1時50分〜午後2時 小休憩
午後2時〜午後2時50分 (質疑5分を含む)
「弁護士からみた看護記録」
北澤
龍也 (北澤龍也法律事務所、弁護士)
(概要) 近著「弁護士からみた看護記録」の著者ご自身により、医療安全との関係から現在の看護記録の問題点を法の観点より整理し、新しい看護記録のあり方を解説されます。
午後2時50分〜午後3時 小休憩
午後3時30分〜午後5時 (質疑10分を含む)
「死因究明の意義と制度」
吉田 謙一 (東京大学大学院医学研究科・医学部法医学・医事法学、教授)
午後5時 全体閉会
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