医療安全セミナー 2006
(日本語社会人教育プログラム)
吉田
謙一 シンポジウム「医療関連死調査の近未来」U.届出と紛争処理について」の開催責任者
東京大学大学院医学研究科法医学教授、
本年1月23日に開催された「医療関連死調査の近未来」シンポジウムでは、一定の成果があり、続編としてのシンポジウムを望む声が多いそうです。そこで、以下の日程で、届出と紛争処理を主題とするシンポジウムを企画したいと思います。
福島の県立病院産の婦人科医師が、手術に関する業務上過失疑いと異状死届出義務違反で逮捕された事件は、医療界に衝撃を与えました。そして、中立的調査機関が、届出問題に対する一つの解決の端緒として期待されています。一方で、遺族の声に耳を傾けつつ、医療に関する情報を関係者に伝え、事故と紛争の予防に役立てる方策が求められています。
今回は、届出の問題と、遺族対応・紛争予防について、2つのシンポジウムを企画しております。多数の皆様のご参加と活発な討論を期待しております。
酒井 亮二 医療安全セミナー開催責任者、日本予防医学リスクマネージメント学会理事長
国際予防医学リスクマネージメント連盟理事長
リスクマネージメント研究は、際限なく広がるリスク対策経費の適正化に対処するために、「効果的なリスク対策の実践のために、限りある資源の有効利用に必要となる科学的な意思決定システムの開発」を目標として欧米で1980年代から精力的に展開されています。限りある医療資源の中で、安全な医療を供給するには、リスクマネージメントの考え方と方法が最も基本です。
どのように高度な文明でもそのリスクマネージメントシステムを動かすのは人の心であり、これは2005年の米国でのカトリーナ台風大災害が人類への教訓として示しました。したがって、リスクマネージメント教育は人類が自然と文明の中で安心できる生活の基本マナーを学習する行為として不可欠です。
なお、学会機関誌「安全医学」の出版を刊行し、日本国内にリスクマネージメントに関する知識の伝達を図りました。現在この学会誌は、米国科学アカデミィーの医学図書館や台湾からも購読の依頼がとどいており、日本語にもかかわらず国際的な注目を浴びるにいたっています。日本学会を出発点として発展した国際予防医学リスクマネージメント連盟は、設立後わずか4年を経て世界60カ国以上の国々からの学会員によって構成されるに至っています。
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